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琉球新報論壇「はしか・風しん予防接種」自粛中でも期間内受診を

 

沖縄県小児科医会副会長 浜端宏英(64歳)

新型コロナウイルスは100年に一度の大被害を世界中にもたらしています。日本での発生は少なくなりましたが、再流行の可能性はありますので、緊張の日々はもう少し続くことでしょう。ところで新型コロナウイルスにワクチンがあったらどうされますか?ワクチン接種なしの外出はコロナに対して無防備のままで社会生活に戻ることですから、一日でも早いワクチン開発が望まれます。さて今回の流行では不要不急の外出自粛が求められています。小児科外来でも患者さんがすっかりいなくなりました。そして何故か予防接種の患者さんも少なくなっています。県内の5つの小児科医からの報告では4月の予防接種受診者は昨年に比べて明らかに少なくなっています。軽い風邪の子どもを自宅で看ることは良いのですが、予防接種は不要でありません。また、定期接種はこどもたちが罹りやすい時期を考えて接種期間が設定されており、期限内に受ける必要があります。定められた接種期間を一日でも過ぎると任意(自費)接種となり、万が一の健康被害の救済でも大きな差があります。つまり予防接種は不急でなく、常に急いで受ける必要があるものです。接種は定められた期間内の早い時期で、体調の良い時をお勧めします。コロナに限らず多くの感染症は人と接することで感染が広がっていきます。保育園や学校など社会生活が戻って来たときに、ワクチンで守れるはずの感染症に無防備なままではとても心配です。日本では生後2か月から接種が勧められているヒブや小児肺炎球菌ワクチンのおかげでこの二つの病気が激減し、劇的なワクチンの効果が表れています。生後2か月になったら確実に接種しておくことが大切です。2年前県内で一人の観光客が麻疹(はしか)の感染力が強い時期に県内を観光し、100名を超えるはしか患者が発生しました。その際県内ではしかの緊急予防接種を行いはしか発生を急速に抑え込みました。予防接種の効果を実感されたことだと思いますが、ユニセフによると今回の世界的なコロナ大流行で、はしかの予防接種が出来ない国が多いことが報告されています。つまり、コロナの次に再びはしかが持ち込まれる可能性があるのです。外出自粛のために医療機関に出かけることをためらっている方も多いと思いますが、多くの小児科医では予防接種の時間設定や別室での対応など、予防接種を安全に行えるように工夫しています。不要不急の自粛の中でも予防接種はきちんと受けてもらいたいと思います。母子手帳を確認し、かかりつけ医に相談してください。